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2014-09-05

住まいの文化で子供達に豊かな未来を

平成14年10月19日 株式会社根子左 代表取締役根子清 執筆

◆ 青少年の犯罪が多発している

最近マスコミ上で青少年の訳のわからない犯罪行為が多発し青少年の異常行動、異常心理が指摘されています。又、キレやすい子供、大人が増えているといいますし、大人も子供も疲れ易い人が増えているようであります。
帝京大学医学部の調査では、体育会系の大学生の精子を調べた所、正常者は1人しかいなく残りの33人は精子が少なく、不妊症と断定されています。環境ホルモンは、幼児期における子供の脳の発達を阻害し、我慢をするとか、思いやりの心という人間として一番大切な部分の脳が形成されない事がわかってきました。(船瀬俊介著、「こうして直すシックハウス」より)。
アメリカでフロリダのワニのペニスが、環境ホルモンにより小さくなり、生殖に影響が出ている事が報道されておりますがワニを笑うどころでは無く、今日本の青少年の未来が危ないのであります。
この青少年の異常な状態は、日本の伝統的な住まいの文化がうまく継承されてきていなかった事に、大きな原因の一つがあると思うのです。日本人は、日本の風土に適合した住いの文化を育んできました、文化とは、民族の最適な生態系の表現でもあります。又、「身土不二」としてその土地で生産されたものを、衣食住とするのが人間の身体に一番いいのであると伝えてきました。

 

◆ 住まいの文化が変ってきた

住文化も工業化社会の中で、伝統的木造工法から工業化工法へと大きく姿を変えてきました。工業化社会の中で居住空間は工業製品、鉄、コンクリート、ガラス、合成樹脂、化学物質が多用され、壊れにくい、傷が付かない、強さを求める比重があまりにも多かったと思います。又、石油から出来る化学物質が多用されているため、 「シックハウス」 としてその害も広く知られるようになってきました
国土交通省では平成14年第154回通常国会で建築基準法改正が成立し(7月12日公布、公布日から一年以内施行)、その中でシックハウス規制
「1. クロルピリホスを発散するおそれの建築材料の使用禁止。
「2. ホルムアルデヒドを発散するおそれのある建築材料の使用制限」を公布しています。
シックハウス問題に詳しい北里研究所病院の宮田幹夫氏はビニールクロス等から発散するクロルピリホス(有機リン化合物)のガスはサリンと類似の毒ガスであると、現代の新建材で出来た居住環境の空気の恐ろしさを警告しています。
火災になれば、有毒ガスが発生し、弱い老人子供が多く犠牲になっています。現代の居住環境はひび割れしない、傷が付かず、汚れがつきにくい壁、暴れても壊れない空間が求められてきたと思うのです。
日本の伝統的な住まいは、木と土と草と紙から出来ている空間でありました。又、明治になり、建築がレンガ、コンクリート、鉄骨造りに変っても、建物の中の壁は漆喰、ドロマイトプラスター(土壁)を塗って住んできたのであります。
日本の居住空間から、漆喰、ドロマイトプラスター(土壁)が消えたのは、新建材が普及してきた僅か30年前の事です。
木も土も紙も乱暴に扱えば、壊れる、傷が付く、シミがつく、破れる空間です。しかし、木と土と紙と草が持っている調湿機能により、高温多湿の日本の気候風土から住む人を守ることに最も適合した居住空間でもあったのです。
そして、居住空間に神仏を祀り、神、仏おわすところとして拭き清める事により清しき空間をつくってきたのだと思うのです。
この様な居住空間で育てられることにより日本の子供達は、物を大切にする優しさ、思いやりの心、我慢する心が育まれてきたのだと思います。又、この空間はその調湿機能により、生命力を強くする、守る、心身を癒す、心身を育む居住空間でもあり、子供達を教育する場でもあったのだと思います。

 

◆ 何故日本人は土壁を発明したのだろうか

最近、木が人間に優しい、健康に良いという事でログハウスに代表される木の壁だけの居住空間の建築が増えてきておりますが、しかし、日本人は木の壁だけの建築ではなく土の壁を発明し、土の壁の居住空間に生活をしてきた民族だと思います。木の壁だけの建築もありますが、それは神を祀る場所として、伊勢神宮に代表される神社建築であり、物を保管する、奈良の正倉院に代表される倉庫建築ではないかと思います。
私は、日本人が土の壁を発明して居住空間としてきた理由として、3点考えてみました。
第一は、日本人は自然崇拝、自然を敬い、畏れ、神が宿るとして自然を大切にしてきた民族です。又、豊かな自然は、そこで生活する人間を守る働きがあります。100年の木を切れば育つまでに又100年かかります。自然を守り、人間を守る考えから無駄に木を伐採せず、守り育て自然と共栄してきたのだと思います。
第二は、日本の温帯モンスーン地帯特有である高温多湿の気候です。高い湿気はカビ、ダニ等を繁殖させて劣悪な居住環境の最大の原因となります。高温多湿を防ぐ壁として、色々な壁材を試してみて、土壁が日本の気候風土に一番適合していたのではないかと思います。又、土の中に藁を豊富に入れる事により土だけの壁より、より調湿性能を高め室内の湿度を60%以内に保つ機能を有する、住む人に気持ちの良い、命を癒す、命を守る、命を育む居住空間を作ってきたのだと思います。
そしてこの湿度帯、相対湿度40~60%は、人間が一番気持ち良いと感じる湿度帯で有り、空気中の水分は0.5~1ナノメーターの水滴になりマイナスイオン化しているわけです。(日本の昔の木造家屋は今のアルミサッシと新建材だらけの家に比べれば家屋そのものが天然の除湿器であり、大変なマイナスイオン発生器を備え付けていたといえます。菅原明子著、「マイナスイオンの秘密」より)
第三は、土は燃えない素材であり、火災から、住む人の命を守り、財産を守ってきたのだと思います。
現代の多くの居住空間は化学物質(原料は石油)の素材を多く使用しています。難燃剤を使用し不燃化をしている訳ですが原料が石油なので燃えます。
化学物質の素材は火災により猛毒のガスを出し、焼死よりガス中毒死による弱者の老人子供の死者を火災の度に多く出しております。

 

◆ 新しい土壁として珪藻土壁

最近、石灰系珪藻土壁が僅か3mmの厚みで、調湿機能性が従来の土壁の厚み100mmに匹敵し、スピード性、結露・カビ防止、消臭、防火機能があり、又、空気のビタミンといわれるマイナスイオンを生成することで、注目を集めております。
漆喰系珪藻土壁の特徴は、自然のマイナスイオンを生成することにより、住む人の身体、植物、幼児、ペットに良い反応があらわれることです。住む人は、凄く気持ち良さを感じますし、室内の植物は勢いがよくなります。これは、マイナスイオンを吸収する事で、病気、老化の原因と言われている活性酸素(プラスイオン)を除去できる為であると考えられます。
又、最近大きな社会問題となっております 「シックハウス」の最大の原因とも言われる室内空気中のあらゆる有害物質、環境ホルモン等を中和除去し、日本の夏の気候、温帯モンスーン地帯特有の強い湿気を防ぐ調湿機能もあることです。
最近、健康に良いということで土壁、漆喰壁の薄塗リ壁が多く出ております。
確かに土壁も漆喰も自然素材であり、有害なガスは発生しない素材ですが、日本の気候風土、夏の高温多湿の気候から住む人の健康、命を守るには土壁の厚みが必要であり、土壁、漆喰壁の薄塗りでは高い湿気を防ぐ、調湿機能を期待するには無理があると思います。
珪藻土は、太古の昔地球上が海だった頃海中に繁茂した珪藻が堆積して出来たものであり、堆積した珪藻の殻が珪藻土になり、身の部分が石油になった訳であります。昨今、木炭の多孔質としての優れた性質が話題になっておりますが、大きさで比べると、木炭の孔一つが珪藻の殻一つに相当し、孔の数では、5000~6000倍にも成ります。
この珪酸質のしかも超多孔体が、日本の高温多湿の環境から、最適の室内環境、湿度40%~60%以内を保つことにより、空気中の水のクラスターをマイナスイオン化し、又、湿気を常に強く吸放湿することによりマイナスイオンを生成し、シックハウスの大きな原因の一つであるホルムアルデヒド他の環境ホルモン(プラスイオン)を中和により除去し、気持ちの良い健康的な居住空間を作ってくれているのであります。
最近、マスコミ上で人間に害を与え、自然環境を汚す元凶として石油から出来た多くの化学物質が指摘されております。しかし、石油は地球上に自然にあるものであり、その化学文明は人類に多くの利便性をもたらし現在の人類の繁栄を作ってきたのだと思います。
同じ珪藻から出来た珪藻土がその害を防いでくれる事に不思議な自然の摂理を感じさせてくれます。

 

◆ 子供達に豊かな未来を

最近の青少年の連続して引き起こす一般常識では考えられない多くの犯罪、そして異常な心理状態の数々、又、若い親の我が子への目をそむけたくなるような虐待、青年の精子の減少、女子の子宮内膜症、心身症、鬱病の増加、年間33,000人を超える自殺者がマスコミで報道されています。
又、カッとしやすい、切れやすい若者の異常な心理状態、社会問題は、最近化学物質の環境ホルモン(胎児、幼児期の脳の発育阻害の原因となる)が大きく影響していると指摘されております。
食物、衣類から人体に取り込まれる化学物質の量も問題が有りますが、それ以上に室内の空気中から呼吸により肺から血液に入る、鼻の粘膜、皮膚から吸収される化学物質の量が多く問題とされつつあります。この青少年の異常な問題は日本文化の継承を忘れ、効率化、合理化、経済至上主義でやってきた、日本人に対する衣、食、住の日本文化のしっぺ返しだとも思うのであります。最近、住む人に優しい居住環境という言葉が多く聞かれますが、かっての日本の居住環境は優しいだけの居住環境ではなかったと思うのです。生物は順境の中では滅亡し、逆境の中でしか生き残っていけないといわれております。人間にとって、命にとって快適な居住環境とは何であるかを求めていきたいものです
今こそ、日本人が英知を傾けて築き上げてきた、住いの日本文化、土、木の文化の素晴らしさを見直し、正しく継承し、守り、伝えていくことが、21世紀を担う日本の子供達の心身の健康を育むために必要不可欠であると確信しております。

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