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コンクリート打放仕上の矛盾と不可思議

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2001年6月25日 株式会社根子左 代表取締役根子清 執筆

1.打放仕上げB種について

コンクリート打放仕上げには(建築工事共通仕様書、コンクリート工事)にコンクリート打放仕上げA、B、C種があるのですが、左官業界がコンクリート打放仕上げにおいて一番困っている問題はコンクリート打放仕上げB種の問題であると思います。
コンクリート打放し仕上げB種は、建築工事共通仕様書、コンクリート工事、表-6.14.1によりますと 「打放仕上げB種の程度は目違い、不陸の少ない良好な面とし、グラインダー掛け等により平滑に調整されたもの」 とするとあります。そして精度は、B種の上に仕上げる仕上げによってそれぞれに違います。
このB種の上に吹き付け、塗装、クロス、タイルなどの仕上げをするわけですが、吹き付け下地の下地調整のみ、左官工事に含まれており(JASSでは吹付工事に含まれ左官工事には無い)、塗装工事の下地調整は素地調整として塗装工事の範疇であり、クロス貼り、タイル工事の場合は、下地調整は無いのであります。
吹き付け工事の下地調整はセメント系下地調整材を1~2mm程度全面に塗りつけ平らにするとありあます。ここで問題は、1~2mmの調整ですむ精度にコンクリート打放仕上げB種の躯体が、出来てくるかといいますと現状では100%近い確率で無いのであります。
この事実は、(社)日本左官業組合連合会でコンクリート打放仕上げについて1都6県の左官業者に調査した結果からも推測できます。1都6県の左官業者は、100%、コンクリート打放仕上げは補修していると答えています。

 

2.打放し仕上げにおける補修とは

ここで難しい問題は、建設業界で一般に使用されているコンクリート打放仕上げの、補修の意味ですがこの用語の意味を尋ねましても明確に答えてくれる人が建設に関係する業界にはいないのであります。
タイル仕上げ工事の補修はタイルを貼る事であり、タイル仕上げ工事をした業者が元の仕上げの状態に貼って仕上げ、塗装仕上げ工事の補修は塗料を塗る事であり、塗装仕上げ工事をした業者が元の仕上げた状態に塗って仕上げる訳です。コンクリート打放仕上げの補修は本来であれば、再び型枠を作りコンクリートを打つ事であり、コンクリート打放仕上げをした躯体業者がその工事をやるべきで有ると思うのであります。然し、実際には再び型枠を作り、コンクリートを打つ事はなく左官業者がコンクリート打放面をモルタルで埋たり、塗っていることを、一般にコンクリート打放補修と言っている訳であります。
そして、建設業界で、各種仕上げ工事において、100%近い確率で補修が発生するならばその仕上げ業者は二度と仕事が出来ないことでありましょうし、その仕上げ工法に問題があると言わざるを得ないと思います。
しかし、コンクリート打放仕上げにおいては、100%近い確率で補修が発生しましても誰も疑問に思う人がいないことが不思議に思うところです。
左官業者の考えも一定ではなく、下地調整のみか、下地調整前のコンクリートの精度補修も含むのかはっきりした答えはありません。某社発行の左官工事単価表には、コンクリート打放補修が載っており、部分補修とか、全面補修の項目があるのですが、担当者に補修の意味を尋ねましても解りませんとのことです。
某県では、型枠工事の中に補修工事の項目があり尋ねた所、補修とはPコーンの穴を埋める、目違いをグラインダーで削るのが補修であるとのこと。某市では、補修とは左官で塗ることであるとの事。某ゼネコンの設計担当者に補修の意味を尋ねた所解りませんとの回答であり、現場で監督員に尋ねても明確な答えが返ってこないのであります。
設計事務所においては、設計図書の仕様書にコンクリート打放補修とか、コンクリート補修の上各種仕上げと明確に載せている設計事務所もありますが、設計事務所に補修の意味を尋ねましても明確な答えは帰って来ることは少ないのです。
建築工事仕様書、JASSにもコンクリートの補修はありますが、コンクリート打放仕上げの補修はないのであります。
なぜならコンクリート打放仕上げは仕上げであるからです。

 

3.打放仕上げと特殊打放仕上げ

現在設計図書には、本来の塗りの左官工事仕上げは皆無に近いものが多くなってきています。コンクリート打放仕上げは仕上げであり、左官技能者を必要としない仕上げだと思うのです。これは、A,B,C種のコンクリート打放仕上げに共通していえる事であります。
A種打放仕上げにおいては、コンクリートの肌の自然観を重要視した仕上げである訳ですから、本来はコンクリートを打設して、型枠を外した後Pコーンを埋めればA種仕上げは完成な訳です。然し、現実には殆どのA種仕上げにおいては、そのままでは仕上げにならず、特殊打放仕上げとして打放仕上げの専門業者か、左官業者が、全面塗り仕上げか部分塗り仕上げをしています。
専門工事業者の中には、設計事務所指定の業者もあるようであります。A種コンクリート打放仕上げはコンクリートを打ったままの自然の肌が素晴らしいと言いますが、殆どのA種コンクリート打放仕上げにおいては、コンクリートを打ったままの自然の肌は、少ないのであります。コンクリート打放仕上げをさらに、全面塗り仕上げをしておきながら、コンクリート打放仕上げであると言うのは矛盾ではないでしょうか。
又、設計図書上にコンクリート打放仕上げA種の上に、特殊打放仕上げ工法として明記してある設計事務所も見受けられます。仕上げをさらに仕上げをすると言う事は、コンクリート打放仕上げは仕上げでは無いのでありましょうか、
そして、特殊打放仕上げを施工した、コンクリート打放仕上げをコンクリート打放仕上げと認める事は矛盾を感じさせます。
私は現場において、100%近い確率でコンクリート打放仕上げが完成していないと言う事は、工法に無理があるか、又は、コンクリート打放仕上げは仕上げの意味をなさないのではないかと思うのであります。
現場においては最高の専門工事業者を使用し、たっぷりの工期と予算があればコンクリート打放仕上げは成功させてみせると言う声もありますが、建設業のコスト削減時代を迎え、生産性を上げなければならない現状では無理かと思います。又、最高の条件でありましても、建築の建物の複雑さを考えます時にコンクリート打放仕上げは無理のある工法なのではないかと思います。

 

4.左官技能者の立場

左官工事業者として困っている問題は、設計図書上に左官の塗り壁が無く、コンクリート打放仕上げが仕上げであり、左官技能者を必要としない工法であるにも関わらず、建築現場においては、左官技能者を必要としている事であります。
このような状態では正しい左官工事の積算が出来る訳が無いと思います。又、左官工事費が幾ら掛かるのか、何時完了するのか、左官業者にも解りませんし、誰にもわからないと現場で言われているのであります。
設計図書がありながら左官工事費が幾ら掛かるか解らない、工期が解らないという事は、他の業界では考えられない事だと思うのであります。
コンクリート打放仕上げが100%近い数字で基準の精度、程度の仕上げになっていないと言うことは、現場では誰でも知っている事であります。
そして、仮に現場において、コンクリート打放仕上げが仕上げとして完成になっているのであれば、コンクリート打放仕上げの特殊仕上げは必要がなく、コンクリート打放仕上げに左官技能者は必要としない事であったと思うのであります。
しかし、現実には、設計図書に左官の本来の塗り壁が無いにも関わらず、大量のセメント、砂、プレミックスモルタルが使用され、左官技能者が仕事をしている訳です
現在左官技能者がやっている、仕事の内容の多くは各種隙間埋め、コンクリート打放仕上げの精度不良の躯体造り、床コンクリート直抑えの補修工事、下地調整、ベースモルタル、伸縮目地取り付け、鋼製建具廻モルタルトロ詰等であります。
この工事はJASSでは左官工事の範疇では無いのであります。
コンクリート打放仕上げA、B、C種の問題の難しさは建築現場において、100%近い確率で、コンクリート打放仕上げをさらに特殊打放仕上げをする事の矛盾を、又、コンクリート打放仕上げの仕上げを100%近い確率で補修しなければならない不可思議を、建設業に携わる誰もが矛盾に、又、不思議に思わない事であると思います。
そして、コンクリート打放仕上げの一番の問題点は、コンクリート打放仕上げが100%近い確率で完成していないにも関わらず、コンクリート打放仕上げを建設会社が施工するうえにおいて出来ないと言えない事であり、又、設計事務所に取りましては、コンクリート打放仕上げA,B,C種は仕上げであり、基本的には左官技能者を必要としない設計、工法だと思うのですが、建設会社にとりましては左官技能者が必要、不可欠であると言う事であります。

 

5.左官の伝統技能育成のために

コンクリート打放仕上げには(建築工事共通仕様書、コンクリート工事)にコンクリート打放仕上げA、B、C種があるのですが、左官業界がコンクリート打放仕上げにおいて一番困っている問題はコンクリート打放仕上げB種の問題であると思います。
コンクリート打放し仕上げB種は、建築工事共通仕様書、コンクリート工事、表-6.14.1によりますと 「打放仕上げB種の程度は目違い、不陸の少ない良好な面とし、グラインダー掛け等により平滑に調整されたもの」 とするとあります。そして精度は、B種の上に仕上げる仕上げによってそれぞれに違います。
このB種の上に吹き付け、塗装、クロス、タイルなどの仕上げをするわけですが、吹き付け下地の下地調整のみ、左官工事に含まれており(JASSでは吹付工事に含まれ左官工事には無い)、塗装工事の下地調整は素地調整として塗装工事の範疇であり、クロス貼り、タイル工事の場合は、下地調整は無いのであります。
吹き付け工事の下地調整はセメント系下地調整材を1~2mm程度全面に塗りつけ平らにするとありあます。ここで問題は、1~2mmの調整ですむ精度にコンクリート打放仕上げB種の躯体が、出来てくるかといいますと現状では100%近い確率で無いのであります。
この事実は、(社)日本左官業組合連合会でコンクリート打放仕上げについて1都6県の左官業者に調査した結果からも推測できます。1都6県の左官業者は、100%、コンクリート打放仕上げは補修していると答えています。

 

6.打放仕上げB種について

左官業界としましては、コンクリート打放仕上げでは、左官技能者の養成が出来ない事であります。日本の伝統的な左官技能を習得するには壁、床面を適度の厚みをもって、一定期間ひたすら塗る方法しかありません。
又、設計図書上に塗り壁仕上げが皆無に近い現状では、伝統ある左官技能の維持、継承が困難を極めています。
コンクリート打放仕上げ、薄塗工法では、日本の建築文化の一翼を担ってきたとも言える、伝統ある塗りの左官技能は、習得不可能なのであります。
又、設計図書に、本来の塗り壁の仕上げが無いことは、左官の若い後継者に左官業界としての将来の展望、希望を与える事が出来ない事であります。
建設業界において、左官技能者を将来に置いて必要とするならば、コンクリート打放仕上げの矛盾と不可思議を解決して頂きたくお願いする次第です。

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