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打ち放し仕上げと打ち放し補修を考える

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補修という用語を使用しないようにしたい

2002年12月6日 株式会社根子左 代表取締役根子清 執筆

コンクリート打ち放し仕上げA種

コンクリ-ト打ち放し素地仕上げは、いわゆる打放しでコンクリ-トを打設してそのままの仕上げであり、その仕上げのイメ-ジは、見る人の主観で違い一定ではない。この場合は仕上げであるのでコンクリ-ト打設等が失敗して見る人のイメ-ジに合わない場合は補修をしてイメ-ジに合うようにするしかない。これを打ち放し仕上げA種の打ち放し補修とか、A種の打ち放し仕上げと称している。

コンクリート打ち放し仕上げB種

1.打ち放し仕上げB種の定義
(建築工事仕様書、コンクリート工事、表-6.14.1)

打ち放し仕上げB種の程度は、目違い、不陸等の少ない良好な面とし、グラインダ-掛け等により平滑に調整されたものとするとある。語句の通り解釈すれば、凸凹が無く、平らで、つるつる、すべすべした面であると思うのである。そして、Pコーン埋め迄はコンクリート工事の範囲である。

2.各種仕上げの下地調整

  1. 各種(吹き付け)仕上げの下地調整 (左官工事に含まれる、但し、吹き付け厚塗材下地は含まれない。)(JASSではJASS23吹き付け工事に含まれる)
    各種(吹き付け)仕上げの下地調整は、目違いサンダ-掛け等の後、セメント系下地調整塗材を1~2mm程度全面に塗り付けて、平滑にするとある。Ⅱ・塗装仕上げの下地調整 (素地調整) (塗装工事に含まれる。)
  2. 塗装仕上げの下地調整は、セメント系下地調整材を、全面1~2mm程度塗り付けて平滑にするとある。
  3. クロス下地の下地調整
    クロス下地の下地調整は無い。コンクリート打ち放しB種に直接クロス貼り仕上げをする。
  4. タイル下地の下地調整
    タイル下地は、タイル張りが、密着張り、改良積上げ張り、改良圧着張り、マスク張り、及びモザイクタイル張りの場合は、モルタル中塗まで行う。積上げ張りの場合は、厚さ6mmの下塗を行う。
    内装タイル接着剤張りの場合は、中塗まで行い金鏝で仕上げると、建築工事共通仕様書に明記してあるが、現場によって、コストダウン(JASSタイル、吹付、塗装、クロス仕上げの各種下地の最初にコンクリート下地がある。又、JASS15、6.7他工事の下地つくりにコンクリート仕上がり精度が良くなるとセメントモルタル塗は省略できると有る)により、打ち放しの上に直貼りに変更をしたり、最近では初めから設計図書に打ち放し補修タイル貼りと明記してある場合もある。
    タイル下地の場合、この直貼りの場合とか、設計図書に打ち放し補修タイル貼りと明記された場合の、下地調整、補修の程度が不明瞭である。
    Ⅴ・各種床張物(ビニール床シート張り等)の下地処理(内装工事に含まれる。)
    各種床張物の下地処理は、下地表面の傷等のへこみは、ポリマーセメントペースト、ポリマーセメントモルタル等のより補修を行い、突起等はサンダー掛け等を行い平滑にするとある。

3.下地調整の問題点

ここで問題なのは下地調整の前の打ち放し仕上げB種の状態であるが、1~2mm下地調整塗材を塗って、吹き付けの出来る、塗装、タイル、クロス仕上げの出来る打ち放し仕上げB種は現実には施工出来ていないのである。
現実には100%近い現場で設計図書の通り、打ち放し仕上げA、B種で施工しても、要求されている精度(目違い、不陸等の少ない良好な面とし、グラインダ-掛け等により平滑に調整されたもの。)には仕上がらず、(施工監理不十分であるとか、打ち放し仕上げ工事に携わる{型枠、土工、鉄筋、コンクリート圧送}の技能者の技能が未熟であると、言われることが多い)
そして、実際には、打ち放し仕上げの壁をはずったり、左官でモルタルで厚塗りをして下地調整の前の打ち放し仕上げB種の精度にする為の、仕上げ(JASS・左官工事:では付け送りと有り、その工事は左官工事の範疇ではないと明記されている)をしているのが現状である。
そして、この打ち放し仕上げB種の手直しのモルタルの厚塗り(どの工事にもその費用は無い)と、下地調整を合わせて一般に建築業界で誰もが補修と言っているのである。
ふつう、どんな仕上げ工事でも仕上げが失敗した場合はその仕上げ工事の業種が手直し、補修をその責任において施工するものである。又、補修の定義は元の状態に戻す事であると思うのだが、コンクリート打ち放し仕上げの元の状態は、精度{平坦さ(凸凹の差)クロス、塗装下地で3mで7mm以下、タイル、吹き付け下地で3mで10mm以下とJASS5にある}のは、まだ理解できるにしても、表面の状態(仕上げの程度)が明確で無いので理解できないのである。そして、コンクリ-ト打ち放し仕上げA、B種においては、この工事に携わるどの業種も責任をきちんととろうとはしない。いや、実際にやろうと思っていてもその技能は無く、結局、角を造り、壁を平滑に仕上げる技能を持っている左官業者が打ち放し仕上げA、B種の精度にする為の手直しをやっているわけである。

 

4.設計図書上に計上することの出来ない左官工事

ここで問題なのはこの打ち放し仕上げA、B、C種の手直しの費用はそのコンクリート打ち放し仕上げに携わる業者の責任範囲であるため、左官工事には計上されないことであり、手直し工事を左官業者で、施工しても予算がないと言うことで精算時、歩切り精算されることが多いのが現状である。

 

5.打ち放し仕上げ補修とはなにか

最近設計図書上に、打ち放し補修各種仕上げと設計されたものが多く見受けられるようになってきた。この場合、補修と明記されているのだから打ち放しは仕上げではないと言うのだろうか。なぜなら打ち放し仕上げが、仕上げであるのなら施工する以前から補修が必要な仕上げはあり得ないと思うからである。
又、補修をする業種は誰なのか、補修する材料はなになのか、その程度は金鏝押さえなのか、刷毛引きなのか等の範囲がはっきりされていないのである。これは、下地調整の仕上げの程度にも言える問題点でもある。
現在、RC造の建物においては、100%近い現場においてコンクリ-ト打ち放し仕上げB種が要求される精度(目違い、不陸等の少ない良好な面とし、グラインダ-掛け等により平滑に調整されたもの)に仕上がることは殆ど無いのである。これは、現在の所、コンクリート打ち放し仕上げに携わる業者の技能のレベルが低いとか、現場管理が不十分であるためといわれる事が多い。

 

6.左官工事として設計図書上に明記していただきたい

しかし、100%近い数字で打ち放し仕上げB種の精度が確保できないのであるならば、設計図書上に、打ち放し仕上げB種は、仕上げでないと明記し、打ち放しB種の上の仕上げは、現在、左官で現実に施工しているモルタル薄塗り金鏝仕上げとし、塗り厚もきちんと設計図書上に明記して頂きたいものであります。
今、建築業界、建築に関係する人の殆どの人が打ち放し仕上げB種は補修しなければ後の仕上げが施工できないと思っております。
しかし、100%近い数字で補修しなければ仕上げとならない仕上げがあるのでありましょうか、疑問に思うものであります。絶対、補修が必要であるならばそれはもう、仕上げとは言えないのではないでしょうか。一考を要したいものであります。

 

7.左官工事に含まれない各種仕上げの下地調整

このように、コンクリ-ト打ち放し仕上げB種のうえに各種仕上げをする時の下地調整の工事費は吹き付け(薄塗材)の場合を除いて左官工事には無く、他職種の工事に含まれているか、全くどこにもないのである。特に下地調整の前の打ち放し仕上げB種の精度にする為の手直しのモルタルの厚塗り(コンクリート工事に含まれる、コンクリートの補修)の工事費は前もって計上する事の難しい工事費ではないでしょうか。当然のこととして左官工事として計上する事の出来ない工事費であるため、全ての管理の上に置いて難しい問題である。

 

8.後継者育成上の問題

工事費の問題よりゆゆしきことは、設計図書の今の状態(設計図書上に左官仕上げが殆どない、モルタル、漆喰、プラスタ-等。)では左官技能者を育てていくことができないことであります。左官技能は実際に繰り返し、繰り返し、壁、床をある程度の厚みを持って塗り、角を造ることで覚えるしか習得する方法はないのであります。現在、多く使用されている角鏝(肉厚が薄い、ゴルフに例えればパター)で仕上げる薄塗り工法では、本来の左官技能は習得不可能であり、又、本来の左官技能であるところの、低いところは厚く、高い所は薄く塗って平滑な面に仕上げる左官技能【使用鏝、黒打ち鏝、あげうら鏝、(肉厚が厚い、ゴルフに例えればドライバー、アイアン)】の技能習得は不可能であります。このままでは日本の建築文化の一翼を担ってきた左官の技能は消えていってしまう危惧の念を禁じ得ないものであります。コンクリート打ち放し仕上げがでてきて僅かまだ22、3年の事なのであるのだが。何年か後にはRC造の建築物は左官技能者が不足し、仕上げが不可能になる事も予測される左官業界の将来である。

 

9.打ち放し仕上げに補修の用語を使用しないようにしたい

実際には誰でも、何の気もなく打ち放し補修という言葉を使用しているが、しかし、誰にも意味の解らない(程度、材料、歩掛かり他、又、補修するにしても、打ち放しA、B、C種のイメージがはっきりと定義出来ない。)打ち放し仕上げの上に各種仕上げをする場合の打ち放しの補修と言う用語を建築業界から、設計図書上から無くしたいし、(建築施工監理指針では補修はコンクリートのジャンカの補修を意味している。)無くしたいと思っている。それは、コンクリート打ち放し仕上げに、更に補修と言う仕上げはあり得ないとおもうからだからである。

 

10.若年後継者が多く入って来る業界にする為に

打ち放し仕上A、B、C種を造る為に、最大限の努力をして、設計図書の通りに工事を施工しても打ち放し仕上げの精度、程度が100%近い数字で確保出来ない、完成しないのである。現場が納まらないのである。100%近い数字で完成しないのであればこの工法はどこか無理があるのではないでしょうか。(私は本来は躯体業者であるところの、型枠、鉄筋、土工の各業者が打ち放し仕上げという、仕上げをしなければならない所に無理が有るのでは無いかと思っている。)そして、それはその工事に携わる業者の管理、技能不足であると言われる事が多いのであります。しかし、苦労した努力が報われないで、物を造る人の、ものつくりとしての喜び、職人の生きがいが何処にあるのでありましょうか。
左官技能者は修行時代血の滲むような苦労をして、又、長い年月を掛けて、今の技能を修得したのであります。現在の殆どの仕事であります、躯体工事の範疇であるところのPコーン埋め、グラインダー掛け、又は、他職種が失敗した施工の手直しをするような仕事をする為に左官技能を覚えたわけではないのであります。このような状態で、未来の建設業を担う優秀な若者が入職してくれるのでありましょうか 。少子化時代を迎え、建設業に携わる者は真剣に考えてみたいものであります。

 

11.建築工事共通仕様書平成13年版

下地調整に不陸調整厚さが1mm以下の場合と3mmを超えて10mm以下の場合が加えられて一見下地調整の問題が解決したように思えますが、今回の改正では下地調整の厚みが三段階になっただけであり下地調整の問題は解決していないのである。
コンクリート打放は仕上げであり、平坦さの精度が3mにつき10mm以下とあるので、下地調整の厚みを決定するのは設計側ではなく、施工側に下駄を預けられたと同じである。
設計側で予算を厚み10mm以下で予算を計上しましても、施工側ではコストダウンを考えると3段階の表示がある以上最低の厚みで積算することになると思います。
左官業界としては見積もり段階ではコンクリートの打放しの精度は調べようが無く、現実のコンクリート打放しの状態を考えれば最高の厚みで見積もりたいのですがゼネコン側のコストダウンの元では最低の厚みで見積もるしかないわけです。
コンクリート打放し仕上げの精度の問題は実際にコンクリートを打設して型枠をばらしてみなければ誰にも判らないことであり、下地調整の厚みの問題もその時点まで誰にも判らないことです。
下地調整の厚みは1mm以下、1~2mmの厚みの%は少なく、10mm以下の厚みが100%近いのが現状のコンクリート打放し仕上げの状態です。
下地調整の厚みは三段階ではなく、現状で一番多い10mm以下の厚みに統一を望むものです。
又、10mmも塗るのであれば、名称も下地調整ではなく既調合セメントモルタル塗り金鏝仕上げとするべきではないでしょうか。

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